執筆に参加させていただいた「Vim scriptテクニックバイブル ~Vim使いの魔法の杖」が、本日、正式に店頭に並びます。早いお店では1週間ほど前から先行販売として売っていたようで、かく言う私も著者見本よりも先に、その先行販売 で購入したという状況です(苦笑
7/30 先行販売 『Vim script テクニックバイブル Vim使いの魔法の杖』 技術評論社 (978-4-7741-6634-6) Vim script サポーターズ 著 10冊入荷 http://t.co/QJ5nx2t0QN
— 書泉ブックタワーコンピュータ書売り場 (@shosen_bt_pc) 2014, 7月 30
余談ですが、この先行販売により一時的にとある書店のコンピュータ書のベスト3に食い込んだらしいです。
[3F/PC書]【書泉ブックタワーコンピュータ書先週のベスト3】 7/27-8/2
1位『パーツのぱ 10巻』(KADOKAWA)、2位『ラズパイマガジン』(日経BPマーケティング)、3位『Vim Script テクニックバイブル』(技術評論社)でした。
— 書泉ブックタワーコンピュータ書売り場 (@shosen_bt_pc) 2014, 8月 3
えっと、たった10冊しか入荷してない先行入荷で3位って…あっ(察し
さて気を取り直しまして、本の内容については、既に まっつんさん や Shougoさん が告知している通り、Vim scriptの教科書的な本です。私は1~3章の執筆と、全体の内容的な監修を受け持ちました。
Vim scriptに少しでも興味を持っている方に手にとって、良ければ購入いただければと思います。
おしまい。
ウラ話
宣伝文句を並べられただけで終わっては、読む方はつまらないでしょうから、この本の執筆に際してのウラ話を明かしてしまいましょう。
ことの発端は3年ほど前、様々な御縁があり「Vim scriptの教科書を書いてくれないか」(意訳)という依頼をいただいたのです。正直なところを言いますと、その時は「Vim scriptの本なんて、採算がとれるほどの需要があるのかよ…」って思いました。こんなの誰でもそう思うでしょう? でも無論口には出しません、大人ですから。ちなみに今でも思ってますがね (゚∀゚)
そしてこの依頼、そんなに簡単なことではありませんでした。というのも執筆陣4人は、このような本など無くともVim scriptを習得・習熟してしまったのです。それほどまでにVim付属のヘルプは充実しています。当初は、教科書が成立する余地は無いようにも思えました。
しかし途方に暮れていてもしかたありません。メインラインとして「Vim scriptでプラグインを書いて公開する」というテーマを据え、Vim scriptの主要機能に絞って、どんなに馬鹿げて見えても丁寧に順番に解説を積み重ねよう、そう決めたのです。ですからこの本は、新しいプログラミング言語の習得に慣れている人には、相当にまどろっこしい内容になっています。現に私自身にとってはまじめに読むにはちょっとツラいレベルで、一歩一歩と確実に歩を進めるような書き方をしました。
そこから紆余曲折ありまして、最終入稿が今年の4月だったでしょうか。なんで間が3年も経ってるんだよ!っていうツッコミはご遠慮ください。版組したらページが足りなかったり、節がまるまる抜け落ちていたり、急遽章を分割しなおしたり、時間の許す限り誤字脱字を修正したりして、各方面に迷惑をお掛けしつつ全部の作業が、数多の妥協を孕みつつも終わったのが7月中旬でした。そこから月末までで、先行販売として店頭に並んでしまうのですから、出版社さんと印刷会社さんの優秀さが垣間見えることでしょう。
ちなみにサブタイトルの「Vim使いの魔法の杖」や煽り文句の「達人Vimmerが振るう実践的テクニックの教科書」、それを受けての序文「はじめに」はその7月中旬ギリギリに天から振ってきて、本書のストーリーの最後のピースとして奇跡的な納まりを見せてくれました。そこだけ読むと良書のように見えるのが不思議です。
ではこの記事の最後として、その本書に寄せた序文を転載しましょう。
はじめに
Vimスクリプトは、言わずと知れたテキストエディタVimの、設定用言語として産声をあげました。だからVimを設定するために、たった1行でも .vimrc を書いたことがある人は、すべてVimスクリプトのユーザーなのです。これに当てはまるユーザーは膨大な数になると推測されます。本書を手にしたあなたも、もしかしたら既にVimスクリプトユーザーかもしれませんね。
しかしながら、Vimスクリプトを十分使いこなせていると胸を張って言える人は、決して多くはないでしょう。VimにとってのVimスクリプトは、その使い勝手を大きく変えうる魔法の杖です。ちょっと便利になる設定を書いたり、日々の仕事を手早く片付けるコマンドを追加したり、はたまた世界があっと驚くプラグインを作って公開したり。そんな素敵な魔法の杖も、手にしたうちの一部の人にしか振るえないのであれば、これ以上にもったいないことはありません。
本書はそんな状況を変えるべく、読者の皆様の手にある魔法の杖(Vimスクリプト)の、その振り方を伝授するべく編まれたバイブルです。本書を片手にVimの世界を旅すれば、手軽なワンライナーから出発し、基礎概念や各種文法、上級者のテクニックの一端を垣間見つつ、果てはプラグインの書き方・公開方法まで、広範にわたる杖の振り方が身につくでしょう。
そこから先はあなた次第です。複数の環境で上手く動作する設定を構築するも良し。今はまだ手動でやってる作業を、コマンドにしてみるのも良いですね。もしかしたら、世界中で誰も思いつかなかった、クールなプラグインになるかもしれません。さぁ!魔法の杖を片手に自分だけのVim探しへ出かけましょう!
2014年8月 Vimスクリプトサポーターズ
なお著者見本は8/6 午前1時現在、手元には届いていません(笑
2014/08/06 14:00 追記
本日11時頃、見本が届きました (゚∀゚)