本屋で目をひいた「ストラウストラップのプログラミング入門」を購入し、斜め読みしたのでレビュー…というか語ってみます。
この本を語る上で避けて通れないのが「厚さ(1000ページ超え)」、とても入門書の厚さではありません。本当にこれを必要としている人達ならば、まず間違いなくヒキます。そして高い。一般的に技術書は高いものですが、それでも2、3冊分もの価格でますます入門者は買おうとしないでしょう。ただC++の開祖であるストラウストラップの原著作、しかもプログラミングの入門書です。わかっている人にはたまらない、読みづらいかもしれないけれども内容的に名著であることが保証されている本といっても過言ではありません。
全体はプログラミングの基本構造、入出力、データ操作(構造)、歴史などの周辺状況といった4部から構成されています。各部は長すぎない複数の章から構成され、一章ずつ学習し練習問題を解くことで確かな理解が得られるよう、よく考えられています。浅く広くではありますがC++の実用的な知識、実践を最短距離で学べるよう実によく配慮されている内容です。ただ最短距離と言ってもカバーする範囲があまりに広すぎるため、本当の入門者ならばじっくり一年はかかるかと思われます。いや正しい導き手がいなければ一ヶ月ともたずに挫折するかもしれません。大学など講義のテキストとして使用するならば、三ヶ月から半年はかけて学ばなければならないでしょう。おそらくコレとプログラミング言語C++を毎週各2コマ、C++マスターのもとでじっくり勉強することができれば立派なC++戦士が誕生することでしょう。
それほどの素晴らしい本の日本語訳がこの価格で読めるというのはありがたい事です。しかしその在り方には疑問を持たざるを得ません。まず、この本の価値を購入時に理解できるのは、おそらく私のようにもうこの本を必要としていない人です。知識欲とかコレクター欲とかストラウストラップ欲とか、そのあたりを満たしたい人はもちろん別です。が、この本が「C++プログラミングの入門書」である以上、私やそれに近い嗜好の人間は想定読者ではありません。そのような想定読者がこの本を手に取れるでしょうか。あまつさえ購入できるでしょうか。仮に買ったとしても独学は十中八九無理です。この1000ページを超えるボリュームの持つ破壊力はそれ程に大きいのです。
講義などの教材としては本当に良いでしょう。C++を構成するそれぞれの要素をどのように実践に使うのか、この本を読み解けば習得できることでしょう。ただしそこにかけるマンパワーがあまりに大きく見積もれてしまうため、効果が吊り合うかはちょっと判断に困るところです。ただ学生時分はそのくらいの博打を打っていて欲しいところではありますね。
ストラウストラップファンならばコレクションしておきたい本であることは間違いありません。しかしあまりに値段が高く、あまりに情報量が多すぎるため、アフィリエイトを貼ったもののあまり購入をすすめられないのも事実です。こういうの過ぎたるは及ばざるが如しとでも言うんですかね…